創傷に対する新規基材を用いた治験につきまして
皮膚欠損創を対象とした新規治験のご案内は終了いたしました
当院では「皮膚欠損創に対するシルクエラスチンスポンジ(P47K-WAS)の検証的臨床試験」(以下、本治験)を実施いたします。
本治験の主な選択・除外基準は後述のとおりですが、正確な情報が必須であること、担当できる医師に制限があることから、主治医の先生からの事前のお問い合わせがございませんと、お受けすることができません。
そのため後述の選択・除外基準に沿って適格性を満たしそうでしたら、主治医の先生から、 診療情報提供書にあたる「治験紹介シート」にご記入いただき、prs_info[at mark]kuhp.kyoto-u.ac.jp( [at mark]を@に置換してください) :シルクエラスチン治験 窓口宛にメールにてご連絡いただきたくお願いいたします。そのうえで、来院いただく日時をご相談させていただきます。
治験の適格性を満たすかどうかの最終判断は、当院での検査結果等をふまえ、治験担当医師が行います。
なお、本メールは、上記の理由から、主治医の先生からのお問い合わせのみに対応しておりますため、それ以外の方からのご相談やご連絡には対応しておりませんのでご了承ください。
皮膚欠損創とは
皮膚は表皮と真皮から構成されています。表皮は何層にも重なった表皮細胞から成り、外部から水分や細菌などが侵入できないよう保ちながら、真皮内の汗腺から分泌された水分を汗として透過させることにより、体温の維持と体の中を一定の環境に保っています。真皮は主にコラーゲン線維から成り、皮膚の弾力性、強度を保っています。また、真皮内部に汗腺、脂腺、毛嚢(毛穴の奥で毛根を包んでいるところ)などの組織を含んでいます。表皮と真皮の一部だけの損傷の場合、傷ついていない真皮の中に残っている組織から表皮は自然に再生されます。しかし表皮と真皮がすべて失われると皮膚は再生しません。
皮膚欠損とは、真皮よりも深い皮膚の損傷のことをいいます。真皮の層が形成されると、表皮の形成も促進されますが、真皮が失われた場合は、自然に治るのは非常に難しくなります。
治験機器(創傷治癒材)について
この治験で使用される治験機器は、シルク由来タンパク質とエラスチン由来タンパク質から成る人工タンパク質で、皮膚潰瘍部位に貼りつけると傷から出る滲出液に溶けた後、体温で温められてゲル状に固まります。このゲルは傷に密着し、傷が乾燥しないよう湿潤環境を維持して傷の治りを促進することが予想されます。このゲルの成分は線維芽細胞やマクロファージという細胞を活性化する作用があり、傷の治りに良い影響があると考えられています。
治験の方法について
<予定受付期間>
受付予定期間は2021年7月から2022年11月までを予定しておりますが、治験の進行状況によっては変更される場合があります。なお、治験の詳細につきましては、治験担当医師が説明いたします。
<主な参加基準>
◆参加いただける基準
以下の基準をすべて満たす患者さんが参加できます。
- 皮膚欠損創が慢性創傷の場合
・糖尿病性潰瘍、静脈うっ滞性潰瘍、褥瘡などの傷で、従来の治療を28 日行ったにも関わらず、傷の大きさが50% 以下にならなかった方
・傷の大きさ(長さ×幅)が2~25 cm2の方
・足の傷の場合、皮膚灌流圧(皮膚の表面から1-2 mm程度内部にある毛細血管の血圧)が30 mmHg以上の方
- 皮膚欠損創が急性創傷の場合
・複雑性創傷、深達性II度以上の熱傷、コントロール可能で沈静化すると考えられる局所感染創傷の方
・傷の大きさ(長さ×幅)が2~100 cm2の方
◆参加いただけない基準
以下のいずれかに該当する場合は、ご参加いただけません。
・20歳未満の方
・妊娠・授乳中またはその可能性のある方
・糖尿病で血糖コントロール不良の方
・透析中の方
・悪性腫瘍の治療中の方
・経口ステロイド剤を継続して服用している方(服用量に制限がありますのでご相談ください)
他にも基準があり、京大病院を受診したとしても治験に参加できない可能性もありますので、ご了承ください。
<治験の流れ>
- かかりつけ医からの紹介状をもって、京大病院形成外科外来を受診してください。
- いままでの治療の状況によっては、京大病院形成外科外来で、治療を追加する場合があります。
- その後、治験の詳しい説明をいたしまして、同意されましたら、その他の治験の参加基準を確認します。
- 基準を満たし、実際に治験機器を貼付できることになれば、約2週間入院していただきます。
- 治験機器は、治験の対象となる傷に、1回の手術(デブリードマン)を行った後、当日または翌日に貼付します。手術の数日前から入院していただきます。
- 治験機器を貼付する期間は14日間ですが、状態により前後する可能性があります。
- 治験の観察期間は治験機器を貼付してから4週間です。治験機器の貼付後約21日目と約28日目には、傷の状態を見るために、外来にて治験の観察があります。
臨床試験登録:
本治験の情報は、臨床研究実施計画・研究概要公開システム(jRCT: https://jrct.niph.go.jp/latest-detail/jRCT2052210072)にも掲載されています。
参加について
この治験に関心がある、またこの治験への参加をご希望される場合は、この情報を基にかかりつけ医にご相談ください。治験のご希望のために京大病院を受診される場合は、別途、治験に関する紹介シートをかかりつけ医に御作成いただく必要があります。