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ヘバーデン結節(DIP関節変形性関節症)

ヘバーデン結節(指の変形性関節症)にみられる変形について

「指の第1関節が曲がってきた。リウマチかもしれないと言われた」
「第1関節が腫れて、透明な液体が出る」

疾患の概要

指のDIP関節(最も末節の関節)が骨性の膨隆とともに屈曲変形する疾患です。関節の炎症により関節を包んでいる袋がゆるみ、屈曲方向に曲がりはじめ、また摩耗した骨が周囲にいびつな骨を増生させて骨性の膨隆が生じます(骨棘こつきょく)。これに伴いPIP関節(第2関節)に反り(過伸展という)や小指側への傾斜(尺側偏位という)を認めることもあります。一つの指のみならず、多数の指に生じるのが特徴です。徐々に進行するため疼痛を主訴に受診される患者はまれですが、指先の酷使により腫れや痛みが生じることがあります。関節の背側には粘液嚢腫(ミューカスシストといいます)と呼ばれる、ゼリー状の滑液を内包する嚢胞が透けて見えることがあります。この嚢腫はDIP関節と連続しているため、不潔な環境での作業で嚢胞壁が穿破すれば細菌感染が関節内に波及し、化膿性関節炎を起こす危険性があります。原因としてはリウマチとの関連は否定されており、また必ずしも指の使用頻度や加齢とも相関しません。

ヘバーデン結節の例

ミューカスシストが生じた場合や、疼痛や変形が著明となり、テーピングなどの安静でも改善しない場合には手術が適応されます。DIP関節の固定術も従来から行われてきた治療法の1つですが、たとえ症状が進行した患者でもある程度の関節可動域が残存していることが多く、それが手の握りやすさや指先のつまみやすさに関与しています。よって当科ではその残った可動性をできる限り温存することを重視しています。治療・]される場合には整容的な改善も考慮し、骨性の膨隆の本体である骨棘を切除して変形を緩和し、次に腱や皮膚を形成することにより屈曲変形の再発を予防する手術を行っております。 麻酔は局所麻酔か伝達麻酔となります。 手術時間は平均1-1.5時間前後です。 DIP関節は1-3週間シーネ固定します。鋼線による伸展位での固定を行う場合があります。 多数の指を手術する場合を除いて入院は必要ありません。

粘液嚢腫を切除し皮弁により修復する手術(右は術後3ヶ月の状態です)

骨棘の切除のみを行う場合や、腱の形成を併用する場合もあります。

(written by S. Saito, 2013)