
先輩医師からのメッセージ
- 形成外科 講師 津下 到
京都大学形成外科で講師を務めている津下 到(つげ いたる)と申します。学生教育担当、病棟医長、外来医長を経験後、このたび新入局者勧誘担当を拝命しました。2025年度には医師20年目を迎え、再建外科を専門分野として悪性腫瘍切除手術に対する機能や整容の再建手術を担当しています。
このページを読んでいる方は、「形成外科って気になるけど、実際どんな診療科なのかな?」「形成外科に決めたけど、どこで後期研修を始めようかな?」という思いを抱いているかと思います。研修先の決定は、今後の人生の拠点を決める大事な選択です。
京都大学形成外科には、「魅力あふれる歴史都市・京都に暮らすこと」を圧倒的に上回る充実した研修プログラムと、その後の人生の選択肢を提供できる環境があり、ご紹介します。
■京大形成外科【10の特徴】
① 歴史がある
京大形成外科は1977年に開設され、50年近くに渡って多くの形成外科医を輩出し、同門会の会員数は400人を越えました。近年は毎年9~10名の新規入局者数となっています。多くの偉大な先輩方が道を切り拓いてきてくださったことは、豊富な連携施設数に直結しており、形成外科を系統的に学ぶ場と、多様な将来設計を与えてくれます。
② 連携施設が多い
京都大学研修プログラムでは基幹施設の研修(京都大学:0.5~1年)に、24の連携施設での研修(3~3.5年)を組み合わせ、形成外科全般を学びます。様々な疾患に対応できるように修練を積むためには、連携施設の規模は非常に重要であり、4名以上の常勤形成外科医が在籍する大規模病院14施設が含まれています。各府県を代表する主要病院には、救急外傷、再建、先天疾患等、バリエーションに富んだ診療機会が待っており、京都大学研修プログラムの最大の利点と考えられます。
③ 同期が多い
毎年6~8名の同期入局者がいることは、後期研修中のみでなく、その後の人生にも大きな影響を与えます。医師としての習熟は、自らの向上心と努力をもとに成り立ちますが、壁に当たった時に、様々な角度から手を差し伸べてくれる同期がいることはかけがえのない財産です。良きライバルは自分をさらなる高みに導いてくれます。また、同期が多いことは連携施設研修の選択においても、「とにかく多くの手術がある病院で」「京都近郊での研修をお願いしたい」「手外科が集まる病院がいい」「自然豊かな環境がいい」等々、希望が様々になることでキャリアプランを組みやすくなります。
④ 学閥が無い
京都大学は自由な校風を大切にしており、京大形成外科にも共通する特徴です。過去5年間の入局者では京都大学卒業者が12%であり、全国に渡り様々な大学から研修プログラムに参加いただいています。当然、職務・人事においても学閥を感じることは全く無く、各自の意志と情熱に配慮された修練を積むことが可能です。
⑤ 仲間が近い
京大病院形成外科では、診療科専用の医局に14のデスクがあり、研修中の本拠地となります。同室にいつも同期や、ロールモデルになる先輩達が居てくれるため、協力し合い、刺激を受け合いながら成長していきます。また、孤立せず、仲間とともに一息つける空間にもなります。縫合練習キット、マイクロ練習機器も準備しています。
⑥ 研究精神がある
後期研修中は形成外科臨床の診療が最優先ですが、京都大学形成外科では新たな医療を切り拓く研究を活発に行っています。大学院生の研究進捗を聞く機会として、カンファレンスに研究報告会の時間を設けており、先輩達がどんな疑問を持ち、医療を前進させようと切磋琢磨しているかを体感できます。将来、臨床で遭遇した課題を、自分の手で解決しようと取り組むきっかけになるかもしれません。
⑦ Webモーニングレクチャーで知識を得る
毎週金曜日8:00~8:30には、専門外来を持つスタッフによる講義を行っています。手術中等に得られる知識は断片的であり、各専門分野を系統的に理解することをサポートしています。毎日出会う実際の診療に直結しており、教科書を読む以上に効果的な学習が得られます。Webレクチャーのため、連携施設で研修中も聴講することができます。
⑧ クリニカルアナトミーラボで技術を得る
2018年以降、京都大学大学院医学研究科クリニカルアナトミーラボ(CAL)を利用した手術手技トレーニングを行っています(https://cal.med.kyoto-u.ac.jp/)。筋皮弁挙上や骨切りにおいて、助手側からは見えにくい手術は多くあり、ご遺体を用いた手技の習得は安全な医療を提供する上で必須です。京大形成外科も積極的にCALトレーニングの機会を取り入れており、毎年3~6回開催しています。
⑨ 論文を書く
現状の治療法を評価する、新たな知見を共有するといった活動は、医療を一歩前に進めるために重要であり、論文作成はその手段となります。京都大学形成外科での研修では、経験した手術をもとに学会発表や論文報告を、学術活動に習熟したスタッフ医師とマンツーマンで学びます。
⑩ 新たな取り組み:診療チーム制
外来表(https://keisei.kuhp.kyoto-u.ac.jp/information/outpatient/)に記載のとおり、形成外科には様々なサブスペシャリティがあります。形成外科一般を総じて治療できるようになった上で、さらなる高みを目指すスタッフが集まり診療を行っています。2024年度から、4つの診療チームをローテーションするシステムで研修することで、各分野に集中的に携われるような工夫を始めました。
1)先天性巨大色素性母斑、皮膚再生、瘢痕、ケロイド
2)口唇口蓋裂、鼻の変形、耳介の先天異常
3)腫瘍、頭頸部再建、乳房再建、顔面神経、リンパ管
4)手足の先天異常、四肢拘縮、四肢外傷
京都大学形成外科の門戸は、広く開かれています。
気骨のある君の成長も、迷える君への安心も、京大形成外科が提供します。
さぁ、一緒に楽しく、野心を持って、形成外科ライフを始めましょう!
研修・見学をお考えの先生は、ぜひ気軽に教室へご連絡ください。
- 形成外科専攻医2年目(記載時) 藤原 健太
初めまして、藤原健太と申します。私は形成外科医1年目は京大関連の市中病院で研修を受けてから、2年目の1年間を京大病院で過ごしました。一般形成外科を一通り勉強してから大学に来たわけですが、市中病院には滅多に来ないような希少疾患や、大学病院ならではの高難度手術ばかりで、去年とは全く異なる経験ができた濃厚な1年になりました。京大には先天性巨大色素性母斑や唇顎口蓋裂、四肢先天異常といった先天性疾患を持つ患者さんが多く集まりますので、これらの疾患について特に重点的・専門的に学ぶことができました。大変お世話になりました。市中病院で修業を積んで、また戻ってきたいと思います。
- 形成外科専攻医1年目(記載時) 蔡 翔
形成外科専攻医1年目の蔡と申します。京都大学形成外科研修プログラムに所属し、基幹施設である京都大学医学部附属病院で最初の1年を終えました。形成外科は頭部・顔面から手足の先まで全身を対象とする幅広い診療科ですが、当院には各分野のスペシャリストの先生方が在籍し、日々の診療の中で学びや指導を得ることができます。他施設では経験することが難しい希少な疾患や専門性の高い手術も間近で経験し、目指すべきレベルの高さを感じました。また、臨床だけでなく学術的な活動にも触れることができ、形成外科医としての経験と将来像を育む場としてとても恵まれた環境だと思います。