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斜指症

斜指症について

「小指が曲がっている」

疾患の概要

主に小指が内に向かって(薬指の方向に)曲がる先天異常です。彎曲がわずかであるタイプから、著明な彎曲を示すタイプまであります。彎曲が10-15度以上となるものを疾患として扱います。小指の斜指症は常に両側性であり、常染色体優性遺伝の遺伝形態をとります。斜指症は母指や環指にも生じることがありますが、示指や中指は極めてまれです。

指の彎曲は中節骨(指の真中の骨)が台形や、三角形となり、関節面に傾斜が生じることに起因します。この中節骨の変形は異常な成長軟骨によって生じます。

機能的な問題が生じることは少なく、おもに整容面での改善を希望されて受診される患者さまがほとんどです。成長期のお子様については、成長により変形の再発が起きやすいことから、その治療時期については慎重に検討します。成長が終了した後は、10代であっても20代以降でも治療内容としては同じで、中節骨の矯正骨切り術が行われます。ただし骨切り手術後の骨の癒合は若い程早く得られます。基本的に整容的な治療であるため、手術のきずは指の側面の目立たない場所に作成します。
中節骨の形態異常のため第1関節(DIP関節)が傾斜しています

手術時期は三角骨に対する処置をする場合を除いて、主に中学生以降に行うことがほとんどです。
麻酔は局所麻酔か、上肢の麻酔、希望により全身麻酔となります。麻酔についての不安についてはどの患者さまもお持ちです。丁寧に説明させていただきます。
シーネによる保護を1-3ヶ月行います。

小指斜指症の手術前と、 手術後3年の状態です

手術の詳細

1.中節骨の骨切り

傾斜した関節面を正常に戻すために、中節骨に骨切りを行います。レントゲン写真により指の配列や方向を確認した後、鋼線で骨を固定します。鋼線は骨の癒合を確認した後に外来で除去します。骨の癒合までに1-3ヶ月を要します。

2.傷あとについて

手術の創は手の甲側から手を眺めた際に見えないようにするため、指の側面に作成します。

3.機能的予後について

術後は骨の固定期間の間に指の第1関節(DIP関節)がやや固くなるため、指の運動訓練が必要となります。

手術後の見通しについて

手術後数日 
・ 指が腫脹して血行障害が起きていないかをチェックします。
・ ギプスやシーネを装着している児に対するケアの方法を勉強して頂きます。
手術後-骨癒合(約4-12週間)まで
・ 鋼線部の消毒を行います。外来では週1回チェックさせて頂きます。
それ以外は自宅でしていただくことになります。
・ X線を2週ごとに撮影し、骨の癒合度合いを見ていきます。
骨癒合確認後以降
・ 指関節のリハビリを開始します。 (written by S. Saito, 2014)