屈指症
屈指症について
「指の第2関節が曲がっている」
疾患の概要
主に小指や環指の第2関節(PIP関節といいます)が屈曲変形する状態です。自分で伸ばそうとしてもまっすぐに伸びません。 幼児から認められるタイプ、青年期に発症するタイプ、他の先天異常に合併する多数指に及ぶタイプなどに分類されています。
PIP関節が屈曲変形する病態については完全には解明されていませんが、関節や腱、筋肉など多数の構造物の異常がその原因となっていると考えられています。曲げる腱(屈筋腱)と伸ばす腱(伸筋腱)のアンバランス、虫様筋と呼ばれる手の中の小さな筋肉の走行異常などが示唆されています。
指の伸展が障害されると、きれいにパーができないため、手を地についたり、手袋に手を入れたり、洗顔をするときなどに不自由となります。そのため治療が検討されますが、伸展の改善を重視して深い屈曲が損なわれれば、強い握りが出来なくなるため、手全体としては機能が低下する危険性があります。そのため治療においては屈曲を障害することなく伸展を改善させるような治療が求められます。単純な屈筋腱の切断は屈曲可動域の低下を起こす危険性があるため、当科では行っておりません。当科ではまず保存的治療が可能かどうかを検討し、その後屈筋腱の延長術や虫様筋の異常走行の修正等の術式を選択します。
(written by S. Saito, 2014)